生成AIの精度を飛躍させる RAG活用法

AI

生成AIの活用は日々進化しており、特にRAG(Retrieval-Augmented Generation)は、その性能を飛躍的に向上させる技術として注目されています。RAGは、単に大規模言語モデル(LLM)が学習した知識に基づいて回答するだけでなく、外部の信頼できる情報源から最新かつ正確な情報を検索し、それを基に回答を生成するフレームワークです。

RAGが解決するLLMの課題

LLMには、主に以下の3つの課題があります。

  • ハルシネーション(Hallucination): 学習データにない情報を、あたかも事実であるかのように生成してしまう現象です。
  • 情報の古さ: 学習データが特定の時点(例:2023年春)で固定されているため、それ以降の最新情報に対応できません。
  • 出典の不明瞭さ: 回答の根拠がLLMの内部にあるため、情報の出典を確認できません。

RAGは、これらの課題を解決します。外部のデータベースを参照することで、LLMは常に最新の情報にアクセスでき、ハルシネーションを抑制し、回答の根拠を明示できるようになります。

プログラミングを活用したRAG実装

RAGをプログラミングで実装する場合、Pythonのフレームワーク「LangChain」や「LlamaIndex」が広く使われています。これらのライブラリを活用することで、RAGの複雑なパイプラインを比較的簡単に構築できます。

1. インデックス作成 まず、PDFやHTMLファイルなどのドキュメントを収集し、意味を持つ小さな塊(チャンク)に分割します。次に、これらのチャンクを埋め込みモデル(Embedding Model)で数値のベクトルに変換し、ベクトルデータベースに保存します。

2. 検索・生成 ユーザーの質問も同様にベクトル化し、ベクトルデータベースから意味的に最も近いチャンクを検索します。検索した情報と元の質問を組み合わせて、LLMへのプロンプトを拡張し、最終的な回答を生成します。

この方法は、各コンポーネント(ベクトルデータベース、埋め込みモデル、LLM)を自由に選択・組み合わせられるため、高い柔軟性カスタマイズ性が最大のメリットです。一方で、開発には各技術に関する深い知識が求められ、コストと手間がかかるという側面もあります。

Azureなどを活用したRAG実装

プログラミングの知識がなくても、クラウドサービスを利用してRAGを構築する方法もあります。Microsoft Azureでは、Azure AI SearchAzure OpenAI Serviceを組み合わせることで、RAG環境を迅速に構築できます。

Azure AI Searchの「On Your Data」機能を使えば、GUIからドキュメントをアップロードするだけで、自動的にインデックス作成とチャットUIのデプロイまでを半自動的に行うことができます。

この方法は、プログラミングによる構築ほどの柔軟性はありませんが、開発期間を大幅に短縮できるため、PoC(概念実証)やプロトタイプの作成に非常に適しています。

その他のRAG活用方法(応用編)

RAGは、基本的な検索・生成だけでなく、さらに回答の精度を高めるための応用技術が研究されています。

  • ハイブリッド検索: キーワード検索とベクトル検索を組み合わせて、検索漏れを防ぎ、より関連性の高い情報を取得します。
  • 再ランキング(Re-ranking): 検索で得られた情報を、別のモデルを使って再度順位付けし、LLMに渡す情報の質を最適化します。
  • Agentic RAG: LLM自身が質問の内容を分析し、「検索が必要か」「何を検索すべきか」を自律的に判断して情報収集を行うエージェント的なアプローチです。

これらの技術は、特定の業界や用途に特化した、より高度な生成AIアプリケーションの実現を可能にします。RAGは単なる技術ではなく、生成AIの可能性を広げるための強力なフレームワークと言えるでしょう。

生成AIの活用において、RAGは今後さらに重要な役割を担っていくと考えられています。この記事が、RAGの理解を深める一助となれば幸いです。

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