八重洲にある鰻の銘店

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Story

八重洲なるは、文明開化の香りとコンクリートの熱気が錯綜する、まことに雑多な場所である。駅舎を出ると、東西南北、スーツ姿の勤労戦士たちが蟻のごとく行き交い、誰もがスマホの画面に向かって何やら人生の答えを求めているようである。しかしこの私には、今こそ「鰻」こそがその答えであるという確信があった。

さて、その答えを探し求めて辿り着いたのが、八重洲の「はし本」である。時に開店直後。世に“時は金なり”と言うが、今や“早起きは鰻なり”とも言えるであろう。列をなすことなく、すんなりとカウンターに通されるという幸運に、我輩の徳がいかばかりかと心の中でほくそ笑む。

注文したのは、いろはの「ろ」。これまた古典的響きにして、いかにも教養の薫る一品である。目の前では大将が炭火に向かい、丹念に鰻を焼いている。その手さばきはまるで能の舞のように無駄がなく、煙とともに香りが立ち昇るにつれ、我輩の腹の虫もソプラノからバスへと転調していく。

そして20余分後、ついにその「ろ」が目の前に鎮座した。店員が「こちらは鹿児島・楠田産でございます」と、まるで伯爵の紹介の如き口調で語るやいなや、我輩は蓋を開け、香気に目を細めた。

まずはひと口、ふた口。タレは控えめで甘すぎず、されど決して淡泊でもない。この塩梅が実に巧妙で、鰻そのものの力強き旨味が際立つ。「なるほど、江戸の味とは斯くあるべし」と膝を打った。近年の“映え”ばかりを追い求めた食文化に一石を投ずる、職人の矜持がここにある。

中ほどまで喰い進めた頃、ふと米の粒立ちにも心を奪われた。聞けば石川産とのこと。南国・鹿児島の鰻と、北陸・石川の米。この地理的ギャップを超えてのマリアージュに、まるで令和の政権連立を見た気がする。いや、こちらは遥かに成功している。

さらに添えられたお新香のパリパリとした歯ごたえに、思わず「これぞ日本の副音声」と呟いた。メインに喰い込まず、されど全体の調和を支える立役者。昨今のSNSで無駄に声高なコメント欄にも、このような控えめな美徳があればよいのだが。

「鰻 これ くふうて やく のむな」

なるほど、源内先生の箴言がここに活きる。工夫を尽くして焼かれた鰻を、愚かにも酒の肴に流すことなかれ。我輩は麦酒の一滴も喉を通さず、ただひたすらに鰻と米との対話に集中したのである。

腹を満たしたあとは、心も満たさねばならぬ。そこで大丸にて、森 幸四郎のどら焼きを購入。鰻の余韻に浸りつつ、今度は餡の甘みで締めくくるという、まことに風流な一日となった。

文明は進化せど、人の欲は腹に集まる。そろそろ、マイナカードの紐づけよりも、“胃袋の紐づけ”を政府は推進してはどうか。

 

店舗紹介

「八重洲 鰻 はし本」は、1947年創業の老舗うなぎ店。東京駅八重洲口から徒歩3分、日本橋駅からも同じくアクセス至便な隠れ家のような佇まいです


店内と雰囲気

  • 2024年10月に全面リニューアル。格子窓や坪庭、土壁をあしらった和モダンな空間に改装されて、落ち着きある設えになりました

  • 座席数は32席で、一階はカウンターと小上がり席、二階にはソファー席もあります

  • カウンター越しに焼ける鰻の臨場感が楽しめ、江戸前の職人技が目の前で展開されるのが魅力です 。


鰻のこだわり

  • 鹿児島県・泰斗商店のブランドうなぎ(横山桂一氏による鰻)を厳選仕入れ。水質・餌・育成にこだわった個体を使用

  • 関東流の蒲焼きスタイルで、注文受けてから捌き、白焼き→蒸し→本焼きという手間でふっくら感と香ばしさを両立

  • タレは“三度漬け”という深みある手法。甘すぎず、鰻本来の旨味を引き立てる江戸風あっさり味


メニューのご案内

ランチ:

  • 鰻重「い」(約150g)3,520円、「ろ」(約200g)4,620円、数量限定で鰻丼も用意

  • 鰻巻やうざく、串焼き(肝焼・ヒレ焼・バラ焼など)も注文可

ディナー/コース:

  • 夜は串焼きやうまき、うざく、お新香、骨せんべいにデザートなどを含むコースが9,900円程度または13,000円程度で用意

  • コース注文は前日正午までの予約制、全員揃ってから開始 。


人気ポイントと評価

  • ミシュランガイド掲載店としても知られ、老舗の伝統と職人技が高く評価されています 。

  • Dancyuでも「身の豊かさと精緻な味わいが素晴らしい」と根強いファンから絶賛の声

  • 食べログ評価は3.77前後、Rettyでは“うなぎ好き人気店”として約13件の高評価コメントあり


営業情報

内容 詳細
ランチ 月~金:11:00–14:30(L.O.13:30)、土曜日:11:30–15:00(L.O.14:00)
ディナー 月~金:17:00–20:30(L.O.19:30)
定休日 日曜・祝日(第2・4土曜は昼営業あり)
予算 ランチ2,000〜6,000円、ディナー10,000~14,000円程度
支払い クレジット(各種)、PayPay可(電子マネー不可)

予約はTableCheckや公式サイト、電話で受付(TableCheckは2ヶ月前から)


こんな人におすすめ

  • 鰻好きで、本格的な関東流蒲焼きを味わいたい方

  • 東京駅周辺でビジネスランチや観光ランチにもピッタリな一軒を探している方

  • 職人技が見えるカウンター席で、料理を五感で楽しみたい方

食べログhttps://tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13303042/
公式サイトhttps://www.unahashi.com/

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