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漱石を想いながら竹葉亭で鰻を楽しむ

Story 銀座と聞けば、洒落者どもが足繁く通う高級店が立ち並び、財布の紐も自ずと固くなるような錯覚に陥るが、我輩の目指した「竹葉亭」は、そんなきらびやかな銀座通りから幾分外れ、新橋の駅から足を運んだ方が早いという、少々侘びた場所にひっそ...
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勝海舟やジョン万次郎も通った浅草の鰻やっこ

Story 浅草の地を歩けば、あちこちに江戸の残り香が漂い、まるで過去が未来に追いついてしまったかのような錯覚に囚われる。ことに田原町界隈をうろついていると、ただの食事がいつしか歴史紀行に様変わりする。さて本日、我輩が足を止めたのは「鰻や...
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神田で手軽に美味い鰻を食べたい うな正

Story 人は誰しも、心のうちにひとつくらい「仙人願望」を抱いているものである。朝は小鳥のさえずりで目覚め、日がな一日、畑を耕し、風と語り、夕暮れには一杯の酒を啜って、世を嘆かず、褒めず、淡々と時を送る――などという理想像を描いてみるも...
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新仔鰻重を提供する浦和のむさし乃

Story 本日は、浦和の名店「むさし乃」にて、新仔鰻との邂逅を果たした。近ごろの東京は、まるで気候もAIの気まぐれに左右されるかのごとく、昨日までの雨が嘘のように晴れわたり、まことに“行列日和”とあいなった。 開店までまだまだの時...
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八重洲にある鰻の銘店 はし本

Story 八重洲なるは、文明開化の香りとコンクリートの熱気が錯綜する、まことに雑多な場所である。駅舎を出ると、東西南北、スーツ姿の勤労戦士たちが蟻のごとく行き交い、誰もがスマホの画面に向かって何やら人生の答えを求めているようである。しか...
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上野で散策後は伊豆榮本店で

Story 上野の朝に蓮が咲く。いや、正確には「咲いていた」のである。梅雨時の湿り気を帯びた空気の中、不忍池の蓮はすでに十時を過ぎたころには、うら若き乙女のごとく瞼を閉じており、私の訪れを待ちわびていた風情は露と消えていた。それでもなお、...
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並んでも食べたい尾花の鰻

Story 「尾花」なるもの、これはただの鰻屋ではない。いや、鰻屋の皮を被った一種の宗教施設と申しても差し支えあるまい。何しろ、南千住という江戸の風を今に残す地にて、朝から並ぶ者たちの姿はもはや信徒のそれである。季節は梅雨時、空気に湿り気...
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天然鰻なら野田岩

Story 五月晴れというやつは実にいけません。まことに清々しく、空気は澄みわたり、心も洗われ……ぬるま湯のような浮ついた決心を人にさせる。かくして私もその魔力にやられ、午前十時の空を見上げては、「天然の鰻が食いたい」と、突拍子もない欲求...
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こんにゃく閻魔とわたべの鰻重

Story 場所は小石川。上野のお山からほど遠からぬこの地には、寺社仏閣が点在し、ふらふらと歩けば文化人にでもなったような錯覚を覚えるのだから恐ろしい。人の徳が土地に染み込んでいるとはこのことか。いや、むしろ徳よりは胃袋に染みる香りの方が...
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大塚の宮川で共水鰻をいただく

Story 山手線の車窓より、梅雨に煙る東京の街を眺めていたら、突如として眼前に現れた都電の黄色い車体。あれは文明開化の置き土産、あるいは老舗の羊羹の包み紙のような風情である。車輪がガタンと揺れたかと思えば、そこは大塚駅。車中にて缶ビール...
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